魅惑の清朝陶磁
17世紀中期に始まり20世紀初頭に終える清朝時代は、日本にとっての江戸時代に相応する時期であるので、我々が教科書で習った知識からすると、鎖国をしていたので、ほとんど交流がないと思われてきました。しかしながら、ここ最近の研究により、鎖国が完成した言われる1639年以降しばらくは、中国の内戦などの事情もあり、交易は低迷していたようですが、1684年に海外貿易を促進するために清朝は展海令を発令して自由貿易政策をとりました。そのようなことから、資料によると1685年には年間に85隻が、清から来航するようになり、交流が盛んになり始めました。
今回の展覧会でも貴重な作品が数多く展示されています。特に、小生の目を引いたのは、究理堂文庫所蔵の粉彩絵替散蓮華(十錦手)です。一つ一つの細かな図柄にも見入ってしまいますが、そのカラフルな彩は、200年の歳月を感じさせない鮮やかさを保っています。
さらに、野崎家塩業歴史館所蔵の粉彩絵替蓋茶碗(十錦手)や紛彩絵替皿(十錦手)も同様に、目に飛び込んでくるような彩に圧倒されます。
china という英単語が陶磁器を意味するように、当時の中国の陶磁器は世界に名だたる一級品として流通しており、当然のことながら、日本へも輸入されましたし、日本の陶磁器文化に大きな影響を与えました。その影響が理解出来るように、江戸末期から明治初期の現川焼や珉兵焼、萬古焼などが清朝陶磁器と並べて配置されているので、見比べてみてはいかがでしょうか?