こんなところにも「鵺退治」
先のブログ にて、パラミタミュージアム で開催している 江戸の納涼 奇々怪々 お化け浮世絵展 のことに触れました。展示された作品を鑑賞していると、どこかで見た浮世絵があり、よく見てみると歌川国芳の 讃岐院眷属をして為朝をすくふの図 でした。
なぜこの作品の前で足が止まったと言うと、定期的に開催している読書会の次回の指定図書である 辻惟雄(2004)『奇想の系譜』(ちくま学芸文庫) の歌川国芳の章で取り上げられていたからです(pp223)。この著作に対する詳細な感想などについては、別のブログに譲ろうと思いますが、この文庫本の定本の初版は、1970年に出版されています。ここ数年、伊藤若冲が注目されるなどしていますが、1970年当時は、伊藤若冲や歌川国芳などはほとんど知られていない存在でした。つまり、この辻による『奇想の系譜』が江戸期の浮世絵研究の大本となり、現在に至っているということです。
歌川国芳の作品ばかりで恐縮ですが、本朝水滸伝豪傑八百人之一個 猪早太広直 でも足が止まりました。これは、源頼政とその郎党の猪早太と丁七唱が、平安末期の内裏に、頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎の鵺という化け物が現れるということで、それを退治する場面を描いたものです。源頼政?、鵺?と言えば、以前のブログ でも取り上げた 鵺退治(福地桜痴 原作) です。まさに、本年5月の團菊祭で54年ぶりに上演された演目の大本となった浮世絵です。
※ 特別に許可を得て、写真を撮影しています