石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

青色LEDを学ぶ

26日(日)に発売された 「ニュートン 2014年12月号」 が手元に届きました。
最新号の緊急特集はやはりこれしかありません。ノーベル賞に輝いた青色LED大革命!」 また、御嶽山の噴火の検証記事や最新鋭の航空機の秘密に関わる記事もあり、いつもながらの盛り沢山の内容となっています。

青色LEDに関しては、赤色LEDをニック・ホロニアック・ジュニア博士が1962年に開発し、今回ノーベル賞を受賞した赤﨑勇博士が、1964年に超小型で当時世界最高発光効率の赤色LEDを開発した当時は、青色LEDの実用化は全く見通しのない状態でした。色の違いは、光の波長の違いであることはご承知の通りであり、赤色は波長の最も長い色です。波長が短いほど光のエネルギーは大きく、大きなエネルギーの光からより低いエネルギーの光は作り出せますが、逆に低いエネルギーの光から高いエネルギーの光を作り出すことは出来ません。つまり、波長の長い赤色は最も低いエネルギーの光ですので、他の色を生み出すことは出来ないことになります。ですので、より高いエネルギーの光である青色LEDの開発は他の色を生み出すことは可能になりますが、それを開発することはより大きな困難が伴うこととなり、それだけ価値があることでした。

1981年に赤﨑博士が 名古屋大学 に教授として着任すると、その研究室の扉を叩いたのが、同じく今回ノーベル賞を受賞した、当時大学4年生の天野浩博士でした。この時から「窒化ガリウムの高品質な結晶」と「窒化ガリウム系のp型半導体」を作るために試行錯誤の日々が始まりました。その間、基板であるサファイアと窒化ガリウムとの結晶の原子の間隔の違いのために、それぞれの層がうまくかみ合わず、失敗を繰り返します。しかし、1985年に、サファイアと窒化ガリウムの結晶の間に、窒化アルミニウムの薄い層をバッファとして使うことで、高品質の窒化ガリウムの結晶を作り出すことに成功しました。それからしばらくした1989年には、窒化ガリウムのp型半導体の開発にも成功し、20世紀中には困難と言われた明るい青色LEDに必要な基本技術が開発されました。

その基本技術の確立の後、高性能の窒化ガリウムの結晶を実現する方法を開発するのが、中村修二博士になります。1989年に青色LEDの開発に着手し、その4年後の1993年には、他社の約100倍の明るさに相当する青色LEDを発表し、実用レベルでの大量生産に向けての道を大きく開けました。

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以上のようなノーベル賞受賞者の功績についても、「ニュートン」の得意とする高品質なビジュアル資料を用いて、分かり易く説明がなされています。また、CDとDVDとBD(ブルーレイディスク)の容量の違いを情報の記録媒体に書き込む光をペンにたとえて解説されていました。つまり、同じ面積の紙に多くの情報を書き込もうとすれば、細いペンで書き込めばいいことになり、それを電子媒体に置き換えれば、より細いレーザーを用いればいいことになります。CDに当てる光は近赤外線(光のスポット直径が2.11マイクロメートル)、DVDは赤色光(同直径が0.74マイクロメートル)、BDは青紫色光(0.58マイクロメートル)で、青色LEDが最も細い光で、より多くの情報を書き込むことが可能となっています。このメタファーは思わず「なるほど!」と得心してしまいました。

加えて、「最も美しいミクロの人体図鑑」という特集もあり、少々リアル過ぎますが、楽しく拝読することが出来ました。皆さんも手にとって科学に触れてみてはいかがでしょうか?

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科学的知識の欠落している小生に対して「勉強をするように!」という意味を(恐らく)込めて、最新号をご恵贈賜っている 株式会社ニュートンプレス の社長である髙森圭介さんには心から感謝申し上げます。