石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

アイドルとしての高倉健

今月の「ユリイカ 2015.2」は高倉健の特集でした。
「ほぉ~、『ユリイカ』が高倉健を扱うとこうなるのかぁ~」というのが率直な感想。
同じく「ユリイカ」が特集した「北野武あるいはビートたけし(臨時増刊号1998年2月)」(この本は誰かに貸したのか手元に無い(泣))と「立川談志(2012年2月)」と比較して、高倉健を批評するために引き合いに出される人物や出来事が単一的な印象を受けた。

 

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その中で、異彩を放ち、秀逸であったのは(当然といえば当然だが)、杉作J太郎だった。かの高倉健を評するに、「男」と「アイドル」をキーワードとして用い、東映を退社したのではなく「卒業」と位置付け、前田敦子大島優子がAKB48を卒業したことに重ね合わせる手腕は、ヤクザ映画とアイドルをディープに知っている杉作の面目躍如と言ったところである。

 

杉作の贔屓アイドルは、モーニング娘。であり(つまりハロヲタ)、AKB48のコンサートに足を運ぶのを頑なに拒否していた。しかしながら友人に誘われ仕方なく赴きAKB48と実際に会った際に、自ら「僕はモーニング娘。のファンなんです。」と挨拶した後、別れ際に杉作の背後から「何だよ、ハロヲタだよ」と可愛い声の罵声を浴びせられたことによって、AKB48の少し怖いぐらいの荒み方にシビれて、それ以降ファンとなっている。

 

閑話休題
とは言いながら、オホーツク海を眺める場所にある石井輝男監督の墓碑を巡るエピソードで文章を締め括っている辺りは、当然のことながら高倉健への憧憬を垣間見させている。

 

収録されている三田佳子加藤登紀子のインタビューは、高倉健とその時代が語られているオーラルヒストリーとして読むことが出来る。また、小生は不勉強で城殿智行なる人物は知らなかったが、寄稿している「高倉健と第九条 三島由紀夫の夢見た長ドス」は、山田洋次監督によって高倉健が捨てた長ドスを求め続けた三島由紀夫を論じている。