石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

電力の鬼と法螺丸の交差点

5日(火)に パラミタミュージアム で開催された 企画展 桑名・諸戸家コレクション 茶道具にみる日本の美 のオープニングレセプションに出席しました。

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                         【特別に許可を得て撮影しています】

さすが桑名の諸戸家所蔵のコレクションで 狩野探幽竜虎屏風に圧倒されるとともに、同じく探幽の手による円窓南極老人図の何とも言えない神々しさに見入ってしまいます。

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今回の展示のメインの一つと言っても過言ではない 大名物 青磁蕪無花入 はかねてから拝見したかった逸品です。昨年夏に徳川美術館を訪れた際 に鑑賞した 国宝「太刀 銘 長光 名物 津田遠江長光」 も信長などの数々の権力者の所有となりましたが、この大名物青磁蕪無花入も、豪商で茶人であった武野紹鷗から京都の大文字屋に渡り、織田信長が買い求めて所有することになり、その後、豊臣秀吉、徳川家などを経て、諸戸清太に譲られたものです。時の権力者に愛でられた700~800年の時空を超えた花入の放つ魅力を堪能するだけでも価値はあります。

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さらに、今回の企画展で小生が秘かに楽しみにしていたのは、益田鈍翁の手による色紙や好んだ品々を間近で見ることでした。ご案内の通り、益田鈍(本名は益田孝)は、三井財閥の屋台骨を築いた実業家です。加えて、日本における近代の三大数寄者(一説には、益田鈍、原三渓松永安左エ門を指す)として称される大茶人でもあります。この益田鈍と諸戸家に相当の交流があったことを示すように、鈍翁作である色紙「小田原に新年を迎えて」や「富士画賛」や鈍翁が引き立てた大野鈍阿作の刷毛目茶碗などが数多く展示されています。

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小生の秘かな楽しみは、作品の善し悪しもさることながら、益田鈍翁の茶人としての息遣いを感じることでした。本ブログでも以前に取り上げた(その1 その2杉山其日庵(本名、杉山茂丸。大言壮語が過ぎるため法螺丸との異名も取っていた)が、電力の鬼と言われた松永安左エ門にトラック一杯の茶道具を送り付け、当時の茶道界を支えさせようと画策し、杉山自らが開いた茶会にすでに老齢であった大茶人である鈍翁を客人として招き、あまり乗り気でなかった松永を半ば無理矢理お茶の道に引きずり込んだというエピソードの登場人物の審美眼を感じることを楽しみにしていました。

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オープニングレセプションでは、知り合いも多かったため、ゆっくりと鑑賞出来ませんでしたので、期間中に時代を超えた作品をより深く味わうために再訪しようと考えています。なかなか拝見出来ない貴重な物ばかりですので、皆さんもぜひ足をお運び下さい。