石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

フレスコ画と日本の古画

過日、パラミタミュージアム で開催された 早逝の天才画家 有元利夫 10年の絵と譜 のオープニングレセプションに足を運びました。

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小生は「有元利夫」と聞いて全くピンと来ず、会場に入ってすぐに学芸員の衣斐さんに「有元利夫ってどんな方なんですか?」とお尋ねしたところ、「画家としての名前は一般的に知られていないかも知れませんが、作品を見るとどこかで見たと感じる作品を描いた人です」と答えが返ってきました。

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昭和46年(1971年)3月に米国の現代美術に関心があったものの、初めての海外渡航での欧州でであったフレスコ画に衝撃を受け、それと日本の古画(鎌倉時代の仏教画など)との共通性(質感と肌合い、発想と描き方、平面性と正面性、コラージュ的な描法)を見出したことが、その後の創作活動に大きな影響を与えました。

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また、パラミタミュージアムの学芸部長である湯浅さんの解説によると、高校時代に銅版画の大家である中林忠良に教わったことも美術への関心を高める一助となったということでもあります(有名なお菓子のパッケージのデザインも手掛けたということであったが、商品名までは触れられなかったので、次回窺ってみようと思います)。ただ、その道の大家に薫陶を受けたすべての人が、大成する訳ではないので、そこに相性や出会うタイミングというのが大きな意味を持つことは間違いありません。蛇足かも知れませんが、有名な話では、経済学者である大熊信行は、小樽高等商業学校で『蟹工船』の小林多喜二に影響を与え、療養のため一時帰郷し教鞭をとっていた米沢商業学校では、木村東介に美術の分野で影響を与えたことは、機縁の妙というほか無いのかも知れません。

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今回の企画展で小生が関心を寄せたのは、作品に描かれている女性の目でした。喜んでいるようにも見えるし、憂いているようにも見えるし、悲しんでいるようにも見えるし、怒っているようにも見えます。それは鑑賞している側の心理を見透かしているような眼差しとも感じました。

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これだけまとまった数の有元利夫の作品を一度に鑑賞できる機会は貴重だということです。5月14日(日)までの開催となっていますので、ぜひご覧ください。

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