石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

トランプにとっての「なんて日だ!」(笑)

我々の耳目が「新型コロナウイルス感染症」(以下、「新型コロナ」)に集まる最中、先月20日ニューヨーク商業取引所のウエスト・テキサス・インターミディエート(=WTI)の5月渡しの先物価格が、1バレルマイナス37.63ドルの終値となり、史上初めてマイナスの価格を付けました(要因は、需給のアンバランスと保管量の限界です)。

 

例え話として「そんなもん、タダでもいらねぇ〜」などと言いますが、5月渡しの先物相場とはいえ、まさか原油がタダの上に、1バレルに付き約4,000円も貰えるなんて、「空前絶後」(サンシャイン池崎)の状態であることは、間違いありません。米国大統領のトランプのコメントは知りませんが、恐らく「なんて日だ!」(小峠英二(バイきんぐ))と言ったのではないかと想像します(笑)

 

このマイナス価格は、原油を消費の面から見た場合の「新型コロナ」の影響を受けていることは間違いありませんが、それだけではありません。当然のことながら、消費と表裏一体となっている生産の面から見ることも必要です。全世界の原油生産量は、2004年に8,000万バレル/日を超え、それ以降も「リーマンショック」の際に一時的に減少したものの、2019年には約1億バレル/日にまで増加していました。

 

その約1億バレル/日のうち、サウジアラビア王国ロシア連邦と米国が、それぞれ約1,000万強バレル/日を生産し、3国で全世界の30〜40%を占めています。これまでは、原油を生産し過ぎると、サウジアラビアを中心とした石油輸出国機構OPEC)とロシアが協議をして、減産し、価格の安定を図ってきました。しかし、2014〜2015年辺りからシェールオイルを背景とした米国が、サウジアラビアとロシアの減産分に割って入り、市場におけるシェアを拡大させてきました。

 

イランへの経済制裁も含むこの米国のやり方に対して、「新型コロナ」以前から、サウジアラビアが反発し、生産調整を拒絶し、増産を続ける姿勢を貫いていました。政治力を背景にしながら、市場原理を最大限利用した米国のシェールオイルの生産コストは、約40ドル/バレルと言われています。一方、サウジアラビア原油生産コストは、約3ドル/バレルと言われています(ちなみにロシアは、約40ドル)。サウジアラビアは、この生産コストの低さを武器に、市場シェア奪還に挑んでいました。

 

「新型コロナ」の影響もあり、4月9日にサウジアラビアとロシアの間では、減産合意がなされましたが、その直後であってもマイナス価格を付けた訳ですので、先行きは不透明です。サウジアラビア財政均衡価格も加味すると、どこかで着地点はあるとは思いますが、米国の大統領選挙を控え、水面下での駆引きは今後も続くと思われます。

 

そういう意味では、トランプ大統領の「なんて日だ!」は、あと数回は聞ける可能性はあります(笑)