石原まさたかの痛快!風雲日記(2.0)

使い方は追々考えます(笑)

予想、意図、牧歌的期待

明らかな場合は別だが、人事異動に正誤はない。つまり、正しい人事異動も、誤った人事異動も存在せず、あるのは結果だけであり、その結果もゼロサムではなく、濃淡が存在するだけである。

 

何故か。人事異動は、あくまでも未来に生じるであろう事態への予想であり、組織の運営指針に対する意図であり、個々人に対する牧歌的期待でもある。であるから、ある組織で行われた人事異動を評価する場合は、その正誤で判断するのではなく、予想、意図、期待を基準として、その裏にあるものを読み解かなくてはならない。

 

逆に最悪の人事異動は、未来への予想や組織に対する意図、人に対する牧歌的期待の存在しない、つまり、人事異動が自己目的化したものである。「4月が来るからやらないとイケない」といった類のものである。

 

そうは言ったものの、人事異動は、組織内の人間関係に大きな影響を与えるものであり、異動される側から見ると、自己中心的な受け止め方(「アイツが、俺より早く昇進したのは、上司へのゴマスリが上手いからだ」とか、「閑職に追いやられたアイツの未来は無くなったな」とか、「俺が正当な評価を受けてないのは、直属の上司に恵まれないからだ」などなど)が、説得性を持ち、羨望や嫉妬、怨嗟が蠢き、ルサンチマンの原因を作り出すことにも繋がる。ただ、この羨望や嫉妬、怨嗟は人間の本質の一部をなすものであり、こういう感情が人間社会の原動力になっていることは、ある種の真実でもある(小生は、これをある種の真実と認めるものの、個人的には相当な距離を置いているが)。

 

予想、期待、意図などの組織運営の手法だけでなく、羨望、嫉妬、怨嗟などの人間の感情の両側面を認識した上で、あえて果断し、それを組織にとって上手く使いこなせるかが、トップの資質を測る鍵だと言える。